ショートコース実行委員長ご挨拶

日本薬物動態学会第15回ショートコース
実行委員長
水内 博(田辺三菱製薬株式会社 創薬本部 薬物動態研究所)

謹啓

日本薬物動態学会(JSSX)第37年会の初日となる2022年11月7日(月)に、第15回ショートコース(SC)をパシフィコ横浜にて開催いたします。2022年開催にあたっては、武田薬品工業株式会社 平林英樹2022年会長とも連携を深めながら内容を企画いたします。

ライフサイエンス分野での昨今の技術革新には目を見張るものがあります。遺伝子解析を例に取りますと、リアルタイムPCR、DNAマイクロアレイ、次世代シークエンサーと新たな原理とデジタル技術との組み合わせで世の中が大きく変わりました。そして、膨大なデータから新たな知見が次々と生まれていることは皆さまご承知の通りです。

薬物動態研究とデジタル技術との親和性は高く、パーソナルコンピュータを黎明期に一早く取り入れ、研究者自らが高度な計算を行うことで、Therapeutic Dose Monitoring(TDM)、Model & Simulation (M&S)、Quantitative Systems Pharmacology(QSP)という社会的にもインパクトのある成果を私たちは残して来ました。他方、働き方改革や生産性向上にデジタル技術はなくてはならないものとなり、COVID-19パンデミックにより一挙に世間に浸透しました。そして、デジタル技術により効率化だけでなく、莫大なデータの利活用が可能となることで、医薬品の研究開発そのものが変わり(トランスフォーメーション)、革新的な医療価値が創造されると言っても過言ではありません。

このような背景のもと、2022年SCのタイトルを「デジタルトランスフォーメーション(DX)時代における薬物動態研究のシンカ」としました。DXの潮流に乗り遅れることなく、モノの動きを捉えるプロフェッショナルとしての薬物動態研究者がどこにどのように向かって行くのかを参加者の皆さまと将来を展望したいと考えています。当日は、基調講演、一般講演、ランチョンセミナーに加え、第37年会との合同特別講演を通じて、参加者の皆さまが“DX時代のシンカ”を感じていただけるようプログラムを準備して参ります。デジタル技術活用の先駆者として、私たちがこれからも社会からの期待に応え続けることの意義を参加者の皆さまと共感できれば幸いです。

謹白